どうも、たっつんです!
今回は監視銘柄のITBOOKホールディングス(1447)について記事を書きます!
同社は会計処理に不適切な疑義があり株価が暴落していましたが、ここ最近になって回復してきており、今後がちょっと楽しみな銘柄です。
動画後半でも解説しています。13:00〜からご視聴お願いします!
関連子会社の会計に疑義あり
さて、今回テーマとして取り上げたITBOOKホールディングス(1447)ですが、関連子会社の会計について過年度に渡る一部疑義があり、悪い意味で注目を集めていました。
2023年5月中頃に会計の疑義が発覚し、その後調査委員会を設置、8月中頃には調査報告書を開示する予定も期限に間に合わず延期となりました。これがクリティカルとなり、調査報告書の提出を延期するとアナウンスした8/16引けの翌17日には大幅に株価が下落しています。
「投資家はリスクを避ける」性分を備えています。調査報告書の提出が延期されたとなると「これはとんでもなく悪い内容が開示されるのではないか」と疑ってかかられるのが必然です。
今回の株価の下落は、企業のガバナンスが機能していなかったことのツケが回ってきた結果と言えるでしょう。
疑義の内容
不適切会計処理の具体的な内容は、在庫の過大計上であったり、原価に算入すべき開発費をソフトウェアとして過大計上したり、未出荷売上の計上、売上の過大計上…などのコンプライアンス違反があったとのことです。
不適切な会計処理を図り、利益を水増ししていた実態が明らかになっています。
なぜ、不適切な会計処理が起こったか
今回、不適切が起こった要因としては「過剰なノルマの達成」が一番の原因だったと思います。今回、不適切を起こした関連子会社はグループの中核企業であるIBT(ITBOOKテクノロジー)でした。
IBTの経営者は2021年に「今期は採用などの先行投資もあるから、売上は20億円、利益は0円となる」ことで、当時の会長(恩田氏)に説明をしていますが、これを却下されています。
策定した数字は恩田氏によって「利益0円はあり得ない。50百万円とすること。」と差し戻され、売上金額は変わらないにも関わらず営業利益を上方修正されています。
有無を言わさないトップダウン型の意思決定が今回の不祥事に繋がった直接の原因である可能性は高そうです。
ただ、IBT社長としても「設立間もないグループ子会社であり、事業拡大のためにも、背伸びしてジャンプして届くくらいのポジティブな数字」を意識して、主体性を持って予算策定に関わった側面もあります。
これは恩田氏の期待に応えたいという想いと、左遷されるのを避けたいという想いが入り混じった結果ではないかと考えます。現に過去の経営会議において、恩田氏による業績未達の追及や叱責を恐れて、子会社社長は恩田氏の顔色を伺い萎縮していたという証言もあっています。
実際に、恩田氏の意向で複数の役員が解任されたり、退社したのを見聞きしている供述もあるとのことです。
恩田氏は世代交代をすべきかと
ここまでトップダウン型の企業風土を見ると、さながらビッグモーターのようです。
ところで件の恩田氏ですが、2021年の株主総会で代表取締役を解任されています。
これが腑に落ちないのか2023年の5月には自身を含めた数名を取締役として選任する株主提案書を提出しています。この提案書は反対されましたが、かなりの執念深さを感じずにはいられません。
恩田氏の主張としては「2009年から2021年まで恩田が経営に携わり目覚ましい成長と遂げたが、恩田が去ったあとは無配を続けており、企業価値が成長していない」というものです。
これに対し企業側は「恩田氏の経営の下で配当が行われたような記載がされておりますが、恩田氏は配当を行わない経営方針を有していたのであって、実際、連結子会社のITbook株式会 社の代表取締役に就任してから、当社の代表取締役を退任するまでに配当の実績はありません。」と理路整然な対応を取っています。
また、2023年期は売上、営利、経利ともに上場来過去最高の業績だったとのことですので、間違いなく企業として成長しているとも言えます。
バチバチにやり合っています!
さて、個人的に恩田氏について思うことが一点ありまして「そろそろ世代交代を考えては?」というものです。
というのも、2023年現在で恩田氏は88歳と高齢です。不適切会計の発端となった2021年時点でも86歳というので驚きですよね。2021年時は企業トップの立場として営業利益を0円から50百万円に上方修正するよう差し戻していますが、大変失礼ながら86歳の高齢者に適切な判断ができたのでしょうか?
2023年の株主提案も企業側の主張を鑑みるとあべこべに感じますし、もう世代交代を考えるべきでは?と勝手ながら思います。
当然優秀な人であることは間違いないでしょうが、これまで自身が旗を振るう経営下でも配当をしていなかった人が「俺が去ったら配当もしていない、企業価値が成長していない!」と主張するのは誰の目から見てもおかしいとは思わないのでしょうか。
穿った見方をすると「解任された高齢の元経営者が、配当収入を得るために無理な主張をしている」とも見えます。
また、株主提案書の中では「ITbook や子会社の経営の要となっていた人材も次々と会社を去 り、このままでは企業価値のさらなる棄損が避けられない状況となっている ことを目の当たりにして、深く憂慮し、株主や従業員のためにはこの状況を 放置できないと考え、自らが復帰して経営を立て直し、経営陣を刷新せざる を得ないと考えている」との旨が記載されています。
しかしながら、今回の調査報告書では恩田氏自らが経営幹部らを追放していた実態も供述されており、あまりにお粗末だと言わざるを得ません。
開示されたIR資料だけじゃ知り得ない背景や人間模様もあるかとは思いますが、今後の企業経営を考えた場合に、いずれにせよ世代交代はすべきでは無いでしょうか。
新陳代謝しない企業は今回のITBOOKホールディングスのようにならないよう気を付けましょう。
現在の株価は復活途上?
一連の不適切な会計処理を経て、同社は8月末にようやく訂正報告書を開示しました。
内容としては決算の金額的に必ずしも重要な影響があるほどでは無かったことから、株価は復活しつつあります。企業ガバナンスの面では良く無かったものの、業績に与える影響はさほど大きくは無かった…ということになりますね。
直近では総務省実証事業に採択されたこともあり、株価が反発する局面もありました。
同社は近年で不採算事業であったアパレルやECモール事業を整理していており、前年度で最終益も黒字転換を達成しています。利益が出せる体質に生まれ変わったことで今後の業績伸張、株価反転に期待できるかもしれませんね。
ちなみに、前述した株主提案書への回答IR資料では「過去、本株主提案の取締役候補者である恩田氏を中心とし、当社グループの財務状況を顧みない経営は、アパレル事業・EC モール事業等の不採算事業を生み出し、多額の損失を計上しました。」と記載されています。
バチバチにやり合っています!
それはさておき、黒字体質になった同社の今後は要チェックしたいと思っています。
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